Webディレクターに現在就かれている方が、今後のキャリアとしてプロダクトマネージャー(PdM、PM)を目指すという相談を受けます。Webディレクションというお仕事がプロダクトマネジメントと似ていますが、いまいち何が今強みとしてあり、今後どういったスキルや知見を獲得していけると良いかが曖昧な方も多いと思います。そこで今回はPMを目指すWebディレクターの方向けにプロダクトマネージャーとの違いと今後必要になる視点やスキルを紹介します。
また、Webディレクターという仕事はプロダクトマネージャーを目指す方の1st STEPとしてとても良い経験なので、Webディレクターを目指す方にとっても参考になればと思います。
目次
Webディレクターとプロダクトマネージャーの違い
PMノートに紹介されている記事の図が非常にわかりやすいので、こちらを利用して解説させていただきます。
WebディレクターとPMの業務スコープの違い
Webディレクターの業務スコープ
あくまで一般的な定義としてですが、Webディレクターは主にプロダクトの「制作=製造」工程をメインで担当します。例えば、あるプロダクトの新機能を開発するとしたと時に、プロデューサーやプランナーが企画したものに対して、以下のような業務を行って必要な品質を担保して顧客に提案するまで推進することがメインミッションです。
- プロジェクトマネジメント(スコープ、品質、コスト、リスク、ステークホルダー等)
- 情報設計(IA)(サイト構造やカテゴリ分類等)
- 要件定義(PRD)
- KPI設計・管理(目標設定、効果測定等)
プランナー(企画者)と区別されてWebディレクターが配置されている場合ですが、ディレクターが求められるのはプロダクト(制作物)の品質担保です。品質というのはバグが潜んでなければOKという意味ではなく、QCDを担保することや、ユーザーにとって使いやすいUXを担保していることなども含まれます。そのために情報設計や要件定義によって成果物の品質を向上させることに努めます。
また、プロジェクトマネジメントという項目も入っていますが、プロジェクトマネージャーが開発のプロジェクトマネジメントを行うことに対して、Webディレクターは企画・制作のプロジェクトマネジメントを行います。開発プロジェクトマネジメントの場合、リリース後に大きなバグがなければプロジェクトを終了させることもありますが、Webディレクションにおけるプロジェクトマネジメントではリリース後にKPIを計測して、目標に対する期待効果があったかまでを管理する必要があります。そのためプロジェクトマネジメントよりも、より広範囲の業務が求められることが分かります。
プロダクトマネージャーの業務範囲
- 市場や顧客のニーズを正確に捉え、チームに伝達する
- 競合とのポジショニング・差別化を踏まえた機能追加・改修の優先順位をつける
- プロダクトのKPIに責任を持つ(プロダクトと顧客の成功)
プロダクトマネージャーのメインミッションはプロダクトの成功です。限られたリソースでプロダクトに何を追加するのか/しないのかを意思決定し、顧客に求められるプロダクトを提供し続けます。Webディレクターとの違いの1つは、「終わりなくプロダクトを成長させ続ける」ことです。Webディレクターは新規開発やリニューアルなどで1つ1つのプロジェクトに一定の期間がありますが、PMはプロダクトをクローズするか本人が異動・退職などしない限りは継続的にプロダクトを改善しつづけることを求められます。
また、プロダクトマネージャーはプロダクトのCEOであるため、「意思決定」が大きな仕事として存在しています。どういった機能を追加するのか、使われていない機能や画面を削除するのか、技術的負債を解消するのか、こういった日々やりたい改善案を顧客・自社・開発チームなどから情報収集して優先順位をつけるのがメインミッションです。Webディレクターにはこのような意思決定が
Webディレクターからプロダクトマネージャーを目指す上で必要なこと
ここまでWebディレクターとプロダクトマネージャーの違いについてお話ししてきました。ではどのようにWebディレクターがPMを目指すためには、 どのような動きが求められるのでしょうか?
まず、Webディレクターとして身につけた能力の活用から解説します。Webディレクターの業務範囲はPM同様に幅広いため、進行管理力やプロダクトを形作る力は間違いなく活用できます。またPMにはプロダクトKPIの向上に向けたコミュニケーションがかなり求められますが、Web制作の過程で「調整力」を発揮してプロダクトを完成させた経験のあるWebディレクターはかなり重宝されるでしょう。社内のステークホルダーの意見を集約しながら、組織にとって必要なプロダクトを作るスキルは十分に持っていると思われます。
一方でWebディレクターとPMの最も大きな違いは、「顧客の近さ」です。プロダクトの責任者であるPMは誰のためにプロダクトを作っているかと言うと、”顧客のため”です。そのため、顧客のニーズや課題を理解するためのインタビューを行ったり、営業やCSを通して顧客を理解しようと努めます。その上でどんなプロダクトが必要かを思考し、日々意思決定するのが責務です。この顧客理解という活動は、多くのWebディレクターが今まで未経験の領域と思われますが、ある種「社外調整力」と捉えるとこれまでの経験を活かしながら新たなスキルを獲得できますので、WebディレクターからPMへのキャリアチェンジは非常に相性が良いと筆者は考えます。
どのようにプロダクトマネージャーのスキルを身につけるか勉強法を解説
この章では、Webディレクターの方々がPMを目指す上で参考になる書籍や動画を紹介します。専門性高いPMなのでいずれも少々の投資になりますが、キャリアアップ・年収UPという観点で投資対効果が高いものばかりなのでぜひ一読をおすすめします。
プロダクトマネージャー向けの書籍で学ぶ
INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける
udemyで学ぶ
udemyではプロダクトマネージャーをこれから目指す方や、プロダクトマネージャーに就いたばかりの方々向けの講座を用意しています。
シリコンバレーのWeb企業でプロダクトマネージャーを務めている曽根原さんの講義などは少し料金は高いものの、一見の価値ありです。テクノロジーの聖地シリコンバレーからPMの仕事や魅力とキャリアの可能性を、在住14年以上、現在米系スタートアップで働く現役PMが具体的事例をもとに解説してくれています。
Webディレクションのスキルを体系的に学ぶ
まだ若手Webディレクターで、Webディレクションスキルをもっと伸ばしたいという方もいるでしょう。
また、「これからWebディレクターになりたい」という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方はぜひ現在の業務における実践と、座学を通したWebディレクションスキルを身につけることをおすすめします。
DeBo(ディーボ)はWebディレクションのスキルを学べる、短期養成型オンラインスクールです。
上場企業の現役ディレクターが講師・監修しているWebディレクター・クリエイターに「Webディレクター」になるために必要なスキルを一通り教えてくれます。
「Webディレクターを任されているけど、実際何をしたらいいか分からない」
「なんとなくWebディレクションをしてきたけど、体系立てて必要なスキルを獲得したい」
このような悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
Webディレクションのスキルは実践×座学で成長スピードが倍増すると言っても過言ではありません。
DeBoでは、無料体験講座も用意しているので興味のある方は申し込んでみることをおすすめします。
まとめ:WebディレクターからPdMへの転身は可能
ここまでWebディレクターとPMの違い、WebディレクターからPMへキャリアチェンジするための考え方やおすすめ書籍・動画を解説してきました。Webディレクターの保有スキルはPMの一部になっており、責任はあるもののやり甲斐のあるPMという仕事に転身できる可能性が高い職業といえます。ぜひプロダクトマネージャーを目指しているWebディレクターの方にとって、本日の記事が参考になっていただければ幸いです。